ここ数年、数は多くないが人前で朗読をする機会がある。


どういうものを詠むかはその時のイベントの雰囲気や

共演者の内容によって、先生と徐々に詰めていくものが多い。

「自分が詠みたい候補に挙げた何作かのうちの一作」ということである。

これについて特に異論はなく、そうあるべきだと思う。

どうしてもこれでなければならない、というものもない、とも言えるが

それも徐々に固めていく。

お客様に聞いてもらわなければ話にならないのだから当然だろう。


僕が詠んだ作品をいくつか振り返ると、変わったことに気付く。

ハードボイルド、サスペンス、シュールなお笑い、推理もの・・・

実はどれもほぼ朗読の世界ではあまり取り上げられないジャンルである。

物語が男性中心で、共演者と差別化しようとすると

それまで僕もあまりチャレンジしたことのない作品を選ぶことになる。

自分が今まで、その作品が好きで詠むものは、基本的に人情ものが多かった。

人の心の機微を描く。

そうした物語を詠むのが好きだとは、みんな思わないかもしれない。


先日のイベント後、打ち上げの席で共演者から質問を受けた。

声の出し方や、役の演じ分けとか、主にテクニックの部分。

僕ごときが偉そうにいうことではないが、わかることは答えた。

でも僕がなにより重要だと思うのは、

「なぜその作品を選び、詠むのか」という動機の部分だ。


なんとなく、でもいい。

先生にこれを読みなさいと言われたから、でも構わない。

テクニックは二次的なものでしかなく、

作品と自分の関わりを少しでも見つけられたら、それがあなたの動機になる。

それを信じる姿からしか伝わらないものがある。


実は、僕はみんなのそこしか見ていない。

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